Tides_of_War

盤根錯節

シン・ウルトラマンを観た

ネタバレ注意

 

shin-ultraman.jp

 

結論:面白かった。ネットでの評価は半々*1だが、劇場に足を運ぶ価値は十分ある。そしてシン・仮面ライダーへの期待値も非常に高まっている。

 

ちなみに自分はウルトラマンを全く知らない人間です。

 

 

よかった点

夜の都会を舞台にウルトラマン対偽ウルトラマン(ザラブ)との決戦。ビルの合間を飛び抜け、偽ウルトラマンを撃退するウルトラマン。現代と空想の融合、映像美、迫力のある展開は最高。

 

もし未知の脅威(禍威獣、人類より遥かに高度な文明を持つ外星人)が現実に現れたら?という表現も上手い。諸外国や外星人に振り回される政府、禍威獣の脅威に悠長な市民。この辺の描き方はシン・ゴジラと共通しているというか。ただ本作では中心メンバー(禍特対)の上層部(政府)が単なる無能ポジに収まらなかったのもポイントだと思う。個々の選択が正しいとは言えないが、諸外国や禍威獣に板挟みにあっている立場を思うと、仕方ない(現実的な選択である)と思えた。

 

登場人物全員のキャラ立ちがしっかりしている。ストーリーの中心である禍特対メンバー、ウルトラマン、そして敵である外星人。

 

1時間30分という限られた上映時間の中、シン・ウルトラマン(あるいは庵野秀明)に求められているであろう要素がすべて詰め込まれており、満足度が非常に高い。禍威獣の出現、禍威獣と人間(禍特対)の戦い、禍威獣とウルトラマンの戦い、外星人がもたらす政治的混乱、ウルトラマンの正体、地球の危機、そして人類とウルトラマンによる最後の戦い。これらすべてを1本の映画に収めているため、間延びすることもなく退屈を一切感じない。

 

気になった点

ハイテンポゆえに人間関係の薄さが気になる。限られた放映時間では、人間関係を形成する描写が少なくなるのはどうしようもないのだが、本作のキャッチコピーが「空想と浪漫。そして、友情」であり、そしてウルトラマンの行動原理や、ゾーフィの「そんなに地球人が好きになったのか」発言に至るには、軽薄に写ってしまう。

 

神永がウルトラマンになったきっかけ。禍威獣から逃げ遅れた子どもを助けるために、神永が一人で現場に向かったことが原因なのだが、このシーンだけは突っ込まざるを得ない。周りに沢山の自衛隊がいるにも関わらず、ブレーンである禍特対メンバーが救出を申し出る。そこまでは神永の人間性だから良いのだが、班長の田村が止めようとしなかったのはありえないだろう。

 

また、神永からウルトラマンに入れ替わってから、禍特対のメンバーが違和感を抱いていないのも気になった。デスクで広辞苑を読み漁るなど、明らかに人間離れした行動を取っているのだが。

 

おかげで、神永は最初からウルトラマンだったのかと、途中まで誤解していた。(無謀な救出行動も、ウルトラマンに変身するための方便だったのだと思っていた。)

 

その他どうでもいい感想

山本耕史演じるメフィラスのキャラが濃すぎる。「郷に入っては郷に従え、私の好きな言葉です。」「割り勘でいいか?ウルトラマン」。鑑賞後にTwitterで調べたら、想像以上にミーム化していた。

 

本作を見る前に気になっていた疑問、「禍威獣はどのように現れたのか?」「人間はどのように立ち向かっているのか?」がまさか開始数分のダイジェストで完結するとは思わなかった。

 

絶望した若者(禍特対メンバーの滝)がストロングゼロを飲むシーンは、近年のネットシーンにおけるストロングゼロの扱いが反映されていて、ちょっと笑いそうになった。

 

マルチバース」ってシン・シリーズに必要なのだろうか?今のところ、「流行りに乗っかりました」以上のもの感じない。(特に予告でドクター・ストレンジマルチバース全開なのも相まって)

 

映画本編と全く関係ない感想

映画館で映画を見るのは、シン・エヴァンゲリオン以来。その前に見た映画は、数年前で某アニメの劇場版。どちらも続き物。そして、自分はウルトラマンを全く知らないので、ウルトラマンが好きだから観に行ったわけでもない。そう考えると、映画単位で劇場に足を運んだのは初めてかもしれない。(庵野監督だから、というのは大きいだろうけど)

 

映画館が近くにあるのは、都内に住んでよかったと思えるポイントだと思う。特に今住んでいるところは、電車1駅で映画館に行けるため、平日水曜日のレイトショーでも気軽に観に行ける。

 

さすがに平日水曜日のレイトショーだったので、客は20人もいなかった。

*1:もちろん読んでいないが、タイトルだけである程度察することはできる