Tides_of_War

盤根錯節

5代目相棒・亀山薫の衝撃。そして彼の帰還が意味するもの。

起床後にツイッターを開くと、トレンドが「相棒」の関連ワードで埋め尽くされていた。4代目相棒・冠城亘の後任が決定、新相棒はまさかまさかの亀山薫。初代相棒が5代目相棒として帰還するというビッグニュースが流れていたのだ。

 

thetv.jp

 

冠城亘卒業の一報が流れて以降、メディア・SNSでは5代目相棒が誰かを予想する動きがあった。特に多かったのは、向井理田中圭といった名前。あるいは最終話の鑓鞍兵衛の発言*1。加えて時代背景やマンネリ解消を考慮すると、女性相棒ではないかという予想も多く挙がった。(個人的には俳優に疎いため、特に予想は立てていなかった。)

 

誰が亀山薫の復帰を予想できただろうか?相棒はシーズン20、放送20年を超える長寿タイトルであるが故に、多くのレギュラー・準レギュラーが去っていった。歴代相棒、鑑識の米沢守トリオ・ザ・捜一の三浦信輔等々。一度相棒と深い縁を結んだ人間は、レギュラーを降りても(鬼籍に入っていない限り)高確率で再出演を果たしている。例外は作品内で逮捕&俳優活動を引退した甲斐享(成宮寛貴)と、亀山薫ぐらい。前述の通り、甲斐享は特殊な降板であったため、再出演の可能性が無いのは納得ができる。ところが亀山薫は降板後、14年間一切の再出演が無かった。サルウィン*2に行ってしまったため、簡単には出演できないだろうが、「一時帰国時に事件に巻き込まれる」等、いくらでも方法はあったはずだ。しかしレギュラー放送どころか、SPや映画にさえ一切出演することはなかった。これでは亀山薫と相棒サイドに亀裂があった、と勘ぐってしまうのは当然だろう。往年の相棒ファンは心の底では、亀山薫の再出演を期待しながらも、諦めていたのではないか?

 

気になるのは「いかに亀山薫を相棒として復帰させるか?」という点だ。亀山薫は一度警察を退職した身だが、相棒として活動するためには再度警察になる必要がある。改めて警察試験を受けて合格したとして、すぐに特命係に戻ることはあまりに非現実的ではないか?現状「裏から手を回せそう」で「特命係寄り」な人物は、甲斐峯秋ぐらいしかいないが、彼からしてみれば縁のない亀山薫を特命係に配属する理由が見つからない。縁があり、なおかつ権力者の小野田公顕が存命であれば、特命係復帰もスムーズに行えそうなのだが。警察・特命係に復帰しない可能性も考えられるのではないか。

 

相棒はいよいよ最終章に突入するのか?

 

冠城亘の卒業を知って、自分が驚いたのは「冠城亘が卒業する」からではなく、その事実が「相棒はまだ続く」ということを意味していたからだ。個人的にはシーズン20が一つの区切りになるのではないかと思っていた。シーズン20周年、原点回帰したOPアレンジ、鶴田翁助との決着(+小野田公顕の実質的な再登場)等々、相棒は締めに向かっているのではないかと薄々感じていたからである。

 

どれだけ人気があって、長寿コンテンツであっても、必ず終わりは訪れる。まず主演の水谷豊氏は70歳手前だ。長期間主演としてドラマに出続けるのは、そろそろ厳しいのではないか。他の主要メンバーも多くが既に鬼籍に入っている。亀山薫が初代相棒だった頃と比較しても、瀬戸内米蔵や大小コンビの大木刑事。存命ではあるが、内村完爾(刑事部長)は前シーズンの最終話で呂律が回っていないシーン多く、健康に不安がある。また近年のエピソードで重要ポジションにいることの多い鑓鞍兵衛を演じる柄本明氏も既に74歳である。極論として、主役の水谷豊氏以外は、代役を立てることでストーリーは成立する。衣笠藤治(副総監)がその例である。しかし多くのキャストが高齢化・離脱しており、相棒という屋台骨が壊れかかっていること、加えてかつてほどの視聴率ではないことを考慮すると、自ら幕を下ろしてもいい時期に差し掛かっているのではないか。

 

そして5代目相棒は原点回帰の初代相棒。新しい人物をキャスティングしない場合、甲斐親子や冠城亘の古巣(法務局)等、新たな繋がり・広がりは起きにくい。よって、これ以上相棒のスケールを大きくしようという意志は、スタッフ陣にもないのではないか?彼の帰還は、相棒がいよいよフィナーレへと向かう。意識的に幕を下ろしにかかっているのではないか、と予感させられてしまうのだ。

 

しかし、14年ぶりの再登場となると、違和感すごいだろうなあ。初登場時が2000年のプレシーズン、その頃は亀山薫演じる寺脇康文氏も40歳手前だったため、ジャケット姿にも似合っていたが、現在では既に還暦。ショッキングな再会になることも覚悟しなくては。

*1:特命係に向かって「今どき野郎2人のコンビなんて暑苦しいでしょ?」と発言

*2:架空の海外