Tides_of_War

盤根錯節

スグリもモモワロウも投げっぱなしエンド。ゲーフリにストーリーを期待しても無駄だと再認識した。(ポケモンSV DLC後編+番外編)

DLC後編・藍の円盤について感想を書こうと思っていたら、いつの間にか番外編も配信されていたので、併せて感想を書く。

 

 

 

 

ストーリーとしてのDLC後編+番外編

スグリの救えなさ

前編で主人公に力の差を見せつけられ、信仰していたオーガポンには振り向いてもらえなかったスグリ。主人公を見返すために、強くなることに傾倒。性格も歪んでしまい……。というのが後編のスグリ。ブルーベリー学園におけるスグリの行動(部員への退部勧告や主人公への逆恨み)に問題があったことは間違いない。しかし若さ故の過ちスグリが罰せられるほどとは思わないし、責任の所在はこれほど歪んでも尚放置を続けた周囲の大人・学園にあるだろう(後述)

 

 

DLC後編でスグリがどんな結末を辿ったのか?流れとしては、ブルーベリーリーグで改めて主人公に負ける。ゼロエリア調査のために同行、主人公に勝つために伝説のポケモン・テラパゴスを捕獲。最終的にテラパゴスを覚醒させてしまい、主人公一同をピンチに陥れる。主人公やゼイユに諭され、ヤケクソで吹っ切れる。主人公と共にテラパゴスを静めて、ブルーベリー学園に帰還時。最後に主人公へ「ゼロから友達になってほしい」と告げ、主人公も頷く。となんかいい感じに締めて後編は終了。

 

いやー……雑!スグリが立ち直るまでに、精神的な成長だとか印象的な出来事だとか一切無いDLC全編を割いて、スグリの終着点がこれ?これじゃ結局主人公に実力も人間性も届かない現実を見せつけられ、自身の無力さを思い知っただけ(ゆえにヤケクソで吹っ切れるしかなかった)なのでは?本当に救いようがない。

 

ブルーベリー学園は教育機関として破綻している

ブルーベリー学園の存在が不快すぎて、テラパゴスにテラクラスターを打たせたくなった。

 

スグリが異常なまでの勝利至上主義に落ちてしまった原因は、ブルーベリー学園が教育機関として機能しなかったのが大きい。特に登場する大人たちが軒並み人格破綻者。

 

校長は学校の問題を一切認知していない。そもそも校長でありながら、学校に対する意識が薄い。そのくせ自身を学校最強の裏番長などとイキる始末。変装してまでスター団の問題に向き合ったクラベルとは天と地の差。仮にブルーベリー学園でスター団のような騒動が起きていたら?悲惨な結果になっていたのは想像に難くない。

 

 

ブライアは、生徒を自身の研究のために振り回すなど、教育者の風上にも置けない。エリアゼロで主人公一同をピンチになったのも、テラパゴスをテラスタル化させるようにスグリに仕向けたのが原因。シナリオ終了時には一旦自身の迂闊さを反省していたが、結局ブルーベリー学園帰還時には自身の研究のことだけを考えていた。そもそもエリアゼロという危険区域を研究したいくせに、ポケモンは育てません、生徒に甘えますって、研究者としての資格もないよ。

 

 

一応モブ教師はリーグ部の現状を憂いていたものの、シナリオ終了後には「リーグ部が元に戻ってよかった」とほざく始末。いやスグリ休学してますけど?

 

一番違和感を覚えたのは、ブルーベリー学園の受付。なぜスグリに対してオドオドしていたのか?スグリは確かにチャンピオンだが、それは所詮学園内での話。例えばイッシュチャンピオンのアイリスに対して下手ならまだ分かるが、いい大人がたがが学内トップに過剰対応。ブルーベリー学園は単なる勝利至上主義に留まらず、実力者への崇拝が風土として出来上がってしまっているのではないか?

 

スグリに向き合っていたのは、カキツバタネリネ、ゼイユといった一部の生徒のみ。本来対応すべき大人たちが一切向き合ってないのは、ブルーベリー学園がいかに教育機関として破綻しているか。オレンジ/グレープアカデミーにもレホールという問題のある教師がいるが、ブルーベリー学園は軒並みレホール並の倫理観と評価せざるを得ない。

 

ブルーベリー学園がバトルにのみ力を入れているというのは、タイム先生の発言等含めて、意図的な演出なのだろうが……それにしてもひたすら不快な学園だった。結局スグリはブルーベリー学園に復学することになったが、いっそオレンジ/グレープアカデミーに留学・転校して立ち直るようなシナリオがあっても良かったと思う。

 

テラパゴス・モモワロウに対する雑さ

スグリ(とブルーベリー学園)にストーリーを割きすぎた結果、ほとんど触れられず進んだテラパゴス。申し訳程度にてらす池のイベントがある程度。

 

しかしそれ以上にいい加減だったのが番外編、モモワロウ。予想はされていたが、桃太郎ポジとして追加。しかしシナリオは終始妖怪ウォッチのようなトンチキ世界観で、モモワロウに関する説明は完全放棄。

 

 

特に酷いのが、番外編開始のためのアイテム(まぼろしモモン)を、不思議な贈り物で配信したということ。本来アイテム入手も含めてのストーリーのはずだが、その導入部分さえも飛ばしてしまったため、益々モモワロウの存在が意味不明になった。

 

 

「なぜか」持っているまぼろしモモン、「なぜか」復活したモモワロウ。すべてのストーリーを放棄し、トンチキ世界で誤魔化した番外編。実装前から大したシナリオを期待していなかったが、あまりに雑すぎて呆れている。

考察なんて(ヾノ・∀・`)ムダムダ

前編配信後、スグリの闇落ち原因や、ともっこ等について大層な考察がWeb上に溢れていた。それこそエヴァFateよろしく。でもね、考察なんて無駄なんですよ。ポケモンのストーリーって結局、モバゲー時代のソシャゲレベル。中身は無いし、伏線っぽいものは放り投げるし。

 

ゲームとしてのDLC後編+番外編

DLC後編に相応しい難易度、趣向

過去作品と比較してもトップレベルに難しいシナリオになったと思う。レベルも高く、努力値・持ち物あり。ダブルバトルのため、入れ替え戦というプレイヤー特権も使えない。相手はダブルバトル用の戦術を使用してくるため、適当に100レベでゴリ押ししたところで返り討ちにあう。プレイヤーも戦い方を考える必要がある。

 

以前BDSPのレビューを書いた際に、敵の強化具合に不満を述べていたが、それはBDSPではプレイヤー側の育成環境があまりに不利すぎたからである。反面DLC後編は育成難易度も低く、選択肢や時間も十分にあったため不満はない。むしろレベルの暴力で勝てない分、単調になることもなく、やりごたえを十分に感じた。

 

個人的にとても良かったのはカキツバタのチャレンジ。テラリウムドーム内で捕まえたポケモンのみで戦う内容。新鮮味もあったし、普段使わないようなポケモンを捕まえて育てるのは中々楽しかった。

 

 

苦行と虚無のBP集め

BP集めは擁護できない。苦行で虚無。

 

ブルーベリー学園では何をするにしても、BP(ブルーベリーポイント)が必要。BPを入手するには指定されたポケモンの捕獲や、わざマシンを作るといったミッション(ブルレク)をクリアしなくてはならない。

 

とにかくこのポイント集めが大変。例えばテラリウムドームにて御三家を出現するには3000ポイント×4エリア=12000ポイントが必要になる。しかし一つのミッションで得られるポイントは20~40ポイント。御三家を出現させるために、300から600回ミッションをクリアしなくてはならない。一応100以上のポイントが貰えるボーナスミッションも存在するが、ボーナスミッションの出現のためには通常ミッションを10回クリアする必要がある。いやブルーベリー学園の生徒は御三家連れ歩いてるじゃん!どこから連れてきたんだよ。

 

 

大量のポイントが要求される場面は他にもある。後編終了後に開放される特別講師の招待。パルデアのジムリーダーや講師をブルーベリー学園に招待することで、再戦や特別のアイテムの入手、ポケモン交換が可能になる。しかし、特別講師を呼ぶには200ポイントが必要で、さらにポケモン交換が出来るのは3回招待した後。つまり一人当たり600ポイント×23人=13800ポイントが必要。ちなみに特別講師についてはシアノから呼ぶように要請されるのだが、そのとき交通費として渡されるのは200BP。後は主人公持ち。舐めてんの?

 

 

ミッションの中身も単純作業の繰り返しで苦行。テラリウムドームを駆け回り、目的のポケモンを探しては捕獲・討伐・撮影等。これを何百回も行わなくてはならない。何一つ面白くない。

 

ミッションに特定のポケモンを撮影するものがある。他のミッションと比べてすぐにクリアできるため、コスパこそいいのだが、撮影するたびにSwitchのフォルダにも保存されてしまうため、フォルダ内はどうでもいいポケモンの写真に埋め尽くされてしまう。迷惑極まりない。ゲーフリは本当にこれでいいと思ったのか?

 

いい加減マルチ前提とかやめません?

苦行のBP集めだが、マルチでやると効率が一気に上がる。マルチでは各プレイヤーのクリア報酬は、全プレイヤーが貰えるため、単純計算で4倍の効率となる。しかもマルチ限定のサークルミッションというのもあり、サークルミッションをクリアすると、一気に500BP以上入手できる。つまり馬鹿みたいなBP要求は、ソロプレイはあまりに不利な、マルチ前提の設計であることが分かる。

 

そもそも本作の一部伝説はサークルミッションを複数回クリアしないと入手できない。あまりにソロプレイを馬鹿にしている。しかも本作のマルチプレイは、剣盾と異なり気軽にマルチプレイができない。サークルミッションはリアルでのコミュニケーションを必要とするものも多く、インターネットで募集したろころで、サークルミッションのクリアは容易ではない。

 

結論

評価できるのはやりごたえ(難易度)のみで、それ以外の新要素(ブルレク)やストーリーも評価に値しない。あえて付け加えるなら歴代御三家が全匹入手可能になったことぐらい?それも条件が厳しくてあまり評価できない。

 

最後に

パルデア地図の斜線エリアは何だったんだよ!!!!