Tides_of_War

盤根錯節

確信をもって言えることは、ダイパリメイクは過去最低のポケモン作品だということだ。

このエントリ、下書き状態から1ヶ月近く放置していたこともあって、破棄しようかと考えていた。しかし、ダイパリメイクに抱いた感情は、残しておくべきだと結論づけたため、出すことにする。

 

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こんなにポケモンタイトルに失望したことはない。ダイパリメイクは過去最低のポケモン作品だ。CMで広瀬アリスに「愛する名作が進化したダイパリメイク」と言わせているが、そんなものどこにもありはしないじゃないか。ゲーフリ&IRUCAが指す進化とは一体何のことなのか?

 

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初代もびっくりなバグの多さ。ゲーフリの責任はILCA以上に大きい?

ダイパリメイクが批判されている理由の大半は、「初代リスペクト」とまで皮肉されるほどのバグの多さからだろう。バグを生み出したのは開発元のILCAであり、その責任は大きいだろう。しかし真に批判されるべきはゲーム開発実績の少ない*1ILCAに丸投げしたゲーフリにあるのではないか。なぜ本作では初の外注に踏み切ったのか定かではないが、ダイパリメイク発売から3ヶ月後に発売する「Pokémon LEGENDS アルセウス」の開発に注力するためではないか?とも噂されている。が、そもそも一体何を焦って3ヶ月という短期間でのリリースをスケジュールしたのか?ナンバリングタイトルを外注するほど大急ぎで(どちらのソフトも)リリースする必要がどこにあったのか?

 

個人的にはプレイ中に致命的なバグに遭遇することはなかったし、そういったバグの大半は既に修正済みらしいなのであまり語りたいことはない。

 

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遭遇したバグといえば、進化時に名前表示がおかしくなったことぐらい。

 

新しさ0、懐かしさ0

これまでのリメイク作品は、最新のグラフィックに加えて新たな要素を追加して、まさに「進化」していた。例えば、HGSSでは金銀のみではなく、マイナーチェンジ版のクリスタルの要素も取り入れていた。ORASでは、原作に沿いつつ前作のメガシンカを追加。メガシンカに関するエピソードも、原作のパラレルワールドと示唆することで上手く成立させていた。しかし本作は、LPLE以下のグラフィックに加え、原作と全く変化のないシナリオ・セリフ。これではわざわざプレイする価値を見いだせない。最新のシステムでポケモンを楽しみたいなら剣盾で、シナリオは原作で十分。

 

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不快なまでに強化された敵NPC

メインキャラクターのほぼ全員*2が、個体値・性格厳選、努力値振り、夢特性採用、持ち物所持*3を行っている。クリア後の再戦であればまだしも、シナリオ内でここまで強化をするのはやりすぎ。そもそもプレイヤー側はシナリオ途中ではロクな育成を行うことができない。道中のモブトレーナーや野生ポケモンと戦っていれば、個体値をコントロールすることは不可能。ドーピングアイテムも1匹あたり50万円以上かかる。入手可能なポケモンも限られている。そうしたディスアドバンテージを埋めるため、プレイヤー側には旅で積み上げてきた経験値と(コントロールは難しくても)努力値という武器があったはずなのだが。ここまで敵の強化が過剰になると、対人戦で厳選禁止の縛りプレイを要求されているのに近い。

 

特に四天王・チャンピオンの害悪っぷりは度を超えている。例として紹介すると、四天王のオーバは先鋒でギャロップを出してくる。ギャロップといえば、素早さが高いポケモンとしてお馴染みであるが、オーバのギャロップには素早さのステータスが、個体値V・性格のプラス補正・努力値204が加われており、まずシナリオ内で確保・育成するポケモンでは先手を取られしまう。そして先手を取ったギャロップが何をしてくるかと言うと「こうかくレンズ」+「さいみんじゅつ」でこちらのポケモンを高確率で眠らせようとしてくる。ギャロップは「さいみんじゅつ」はレベルアップ・わざマシンで覚えることができないため、わざわざこの型を作るためにタマゴ技を覚えさせている。

 

上記に留まらず、「ちいさくなる」+「バトンタッチ」で回避ゲーを仕掛けるオーバのフワライド。「ひかりのねんど」+「リフレクター」+「ひかりのかべ」で防御力を大幅に上げるゴヨウのバリヤード。「かえんだま」+「ふしぎなうろこ」+「じこさいせい」で要塞化するシロナのミロカロス。と挙げればきりがない。これらの戦法に加えて、ステータスまで強化されているのだから、いわゆる旅パでの攻略が、どれだけ困難かは想像できるだろう。

 

ほとんどのプレイヤーが、なかよし度システムによる運ゲー*4を制さなければクリアできないような難易度設定は、「高難易度」ではなく単なる「理不尽」ではないか?

 

ダイパリメイクは進化したのではなく、むしろ悪化している!

ダイパリメイクに失望しているのは、いくつかの要素に関しては進化ではなく、悪化してることだ。

 

存在価値を無くしたポケッチ

元々ポケッチというのは、2画面であることを前提に作られたツールである。上画面でゲームをプレイし、下画面でポケッチを操作。しかし、Nintendo Switchは1画面であるから同じような実装はできない。そこで本作では右上に格納する形で実装したようだ。Rボタンで右上に小窓で表示。この状態ではアプリの操作はできない*5。もう一度Rボタンを押すことで、ポケッチの画面が最大化されアプリの操作も可能になる。なお、この状態ではポケッチの操作以外はできないため、アプリ使用後は逐一Rボタンを押してポケッチを最小化する必要がある。この影響を大きく受けたのがダウジングマシン。原作であれば、下画面でダウジングマシンをタップしつつ捜索ということができたが、本作ではダウジングマシンを呼び出す→Rボタンでポケッチを最小化→移動→再度Rボタンでダウジングマシン呼び出し……を繰り返す必要があり、非常に手間がかかる。不思議でならないのが、なぜポケッチにそのまま搭載してしまったのか?例えば、剣盾のように隠しアイテムを光らせてダウジングマシンを不要にするとか、第6世代までのように道具としてダウジングマシンを実装するとか、いくらでも代替案はあったと思うのだが、本作ではそういった工夫が全くなされていないのが残念でならない。

 

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わざマシンを使い捨てにするという最低の改悪

個人的にダイパリメイクに対して最も失望したのは、わざマシンを使い捨ての形式に戻してしまったことだ。確かに原作の第4世代まではわざマシンは使い捨てだったが、なぜ第5世代から継続されてきたシステムを廃止したのか全くもって理解できない。

 

一応、わざマシンは再入手可能。ただし、大半は地下通路でたまと交換する形式になっている。ラインナップは日替わりで、たまを掘る必要もあるため、入手性は悪い。

 

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わざマシンが使い捨てになってしまったことで、遊びやすさは大きく悪化。敵NPCは過剰に強化して、プレイヤー側からわざマシン取り上げるとか、ちょっと性格悪すぎませんか?

 

かつてORASをプレイしたとき、リメイク前では「わざマシンは使うと無くなる」と言っていたのが「わざマシンは使っても無くならない」に変わっていたのには非常に感動した。これがリメイクの醍醐味だと。しかし、本作で初めてわざマシンを入手した際に「わざマシンは使うと無くなる」と言われたときは呆気にとられてしまった。

 

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改善されなかった原作の不満点

リメイクに期待することは何だろうか?ひとつは原作の不満点が解消されることではないだろうか。しかし残念ながら本作では、改善されることのなかった不満点も多々ある。

 

フワンテ難民

原作・リメイクともにシンオウ図鑑から全国図鑑へアップグレードしてもらうためには、チャンピオンになることに加えて、シンオウ図鑑を完成させる必要がある。ここで言う完成とは「みつけたかず」をコンプリートすることである。つまり、トレーナーと戦闘を行っていくうちに自ずと埋まっていく。しかし、フワンテを使うトレーナーは、ヨスガジムにしかおらず、戦わずにジムリーダーを倒してしまった場合再戦することができない。野生で捕まえようと思っても、フワンテは金曜日にしか出現しない*6ため、プレイヤーによっては全国図鑑を入手するまで、リアルタイムで最大一週間待たなくてはならない。全国図鑑を入手できないと、クリア後のコンテンツを進めることが出来ない。残念ながらこの仕様は改善されることなく、リメイクでも引き継がれてしまった。リリースからしばらくツイッター上では、フワンテ難民が溢れる自体となった。

 

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わざと子供だましのクイズを間違えなければ、フワンテを出すトレーナーとは戦えない

 

あまいかおりがする木

ダイパ特有のシステム、「あまいかおりがする木」。シンオウ地方各地に点在する「あまいかおりがする木」に「あまいミツ」を塗ることで、6時間後にポケモンが出現する可能性がある。が、こちらもさまざまな不満点があった。例えばアクセスの悪さ。各地に点在しているため、「そらをとぶ」で近くまで移動→スプレーを使用→木まで移動→木を確認。といった作業を何度も繰り返すため、各地の木を巡回するだけで非常に時間がかかる。この点も残念ならが改善されることはなかった。そもそも「そらをとぶ」はORAS以降、街以外にも様々なポイントに移動することができるようになっていたのだが、ダイパリメイクでは移動箇所が増えることもなく、アクセスの悪さも改善されなかった。ただ、他の要素では一部改善されている点もあるので、それは別章で記載する。

 

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ダイパリメイクではリメイク前と同じポイントにしか「そらをとぶ」が出来ない(左)一方で、ORASでは街に限らず、各道路や施設前に「そらをとぶ」が可能(右)

 

アンフェアなので良かった点も書いておく

ここまで散々批判しているが、リメイクとしてよかった箇所もいくつかあるので、それについても記載しておく。

・「あまいミツ」が一度に10個まとめて購入できるようになった。原作では1個ずつしか購入できず、手間がかかる。

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・「地下大空洞」でさまざまな過去作のポケモンが入手できるようになった。原作では過去作のポケモンの大半は、過去ソフトから輸入する必要があった。

・「地下大空洞」でゴンベが出現する。原作では「あまいかおりがする木」で狙うしかなく、異常な確率(詳細は割愛)でしか入手できなかったが、それ以外の入手手段が用意されたことは非常にありがたい。

ミカルゲがソロプレイで入手可能。原作では通信プレイで「ちかつうろ」で述べ32人に話しかける必要があったが、本作では「地下大空洞」のNPC32人に話しかける形式になったので、通信プレイは不要。

 

結論:ゲーフリへの信用は失墜しました。

どうやったら20年以上積み上げてきた信用をぶっ壊すようなソフトを開発できるのか。ゲーフリはダイパキッズの存在が疎くて仕方ないから、わざとクオリティの低い本作を出したのではないかと疑うほどには酷い。今後出すポケモンタイトルに対しても期待より不安の方が大きいのが現状。レジェンドアルセウスの購入は、とりあえず様子見することにします。

*1:Switchに限ってはPokemon HOMEのみである。

*2:ライバル、ジムリーダー、ギンガ団、四天王、チャンピオン等

*3:過去作のように、回復木の実1個だけ。といった範囲ではない。

*4:「なかよし度」が高いと、命中率に関わらず相手の技を回避する、ダメージ量に関わらずHP1で耐える等の効果が一定確率で発動する。

*5:アプリの切り替えは可能

*6:固定シンボル・谷間の発電所